フィリピン・トラベルマイスター検定

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フィリピンの食文化

フィリピン料理1

歴史、特徴、調味料、人気のフィリピン料理

フィリピン料理は先住民のシンプルな調理法から、スペインや中国の食文化を取り入れたものまで、多岐に渡ります。主食は日本と同じく米ですが、粘り気は少なめ。島国のため魚介類を使った料理も多く、ロブスターやカニ、ラプラプといった新鮮さが魅力のシーフードメニューは、フィリピンを訪れたらぜひ味わってほしい食体験です。もちろん肉類を使った料理も豊富で、特にチキンは専門店があるほど地元の人々から大人気。フィリピンならではのトロピカルフルーツも見逃せません。

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『フィリピンの食文化(前編)』

歴史

7,641の島々から成るフィリピンは、その特殊な地理に加え、諸外国との関わりのなかで発展した独自の食文化を持っています。フィリピンの食生活における歴史を振り返ると、最古の情報とされるのはカガヤン州ソラナで発掘された3,500年前の籾殻や茎です。また16世紀に探検家マゼランが訪れるより前には、中国の商人らが中国料理やその調理法を持ち込みました。

そして1521年、いよいよマゼラン率いるスペイン遠征隊がフィリピンに上陸。その際イタリア人の記録係が、リマサワ島で振る舞われた夕食について「磁器の大皿に盛られた豚肉のソース、採れたての生姜を添えた魚のロースト、米、亀の卵、鶏肉、孔雀」と残しており、これがフィリピン料理に関する最古の記述となっています。

その後300年に及ぶスペイン統治時代には、メキシコをはじめとするほかの植民地からトウモロコシやアボカドなどの食材と、スペインおよびメキシコの食文化が流入しました。トウガラシがアジアに広がったのもこの頃です。

さらにその後、米比戦争を経たアメリカ統治下では、ケーキやサラダ、サンドイッチ、カクテルといった現代的な食文化の影響を受けます。またアメリカ植民地では、衛生局を設置するなど衛生面のノウハウも定着。そして今では、さまざまな島や地域で発展してきたフィリピン独自の食文化が、国内外で知られるようになりました。

特徴や食事マナー

フィリピンにおけるメニュー構成は、1~2品の肉や魚介類料理に野菜料理、そして主食の米から成るのが一般的です。 フィリピンの食事では左手にフォーク、右手にスプーンを持つのが基本のマナー。西洋のコース料理とは違い、日本のように一度に並べられた品々を、家族みんなでテーブルを囲んで好きなようにいただきます。

日本のお味噌汁にあたる伝統的な酸味を効かせたシニガンなどは、西洋的に最初に食べることもできますが、多くのフィリピン人はスープだけ飲んだりご飯にスープをかけたりして、具材の魚や野菜はお米と一緒にいただきます。また大きなお祝い事では、ビュッフェ式のフィエスタスタイルで料理が振る舞われることも多いです。

なお昔はドゥランと呼ばれる低いテーブルを囲み、その中央にバナナの葉を敷いて、手で食事するのが伝統的なスタイルでした。最近ではイベントやパーティーで、お皿代わりにバナナの葉を使い、素手で豪快に食事する「ブードルファイト」を行うことも。これは元々、フィリピンの軍隊式の食事法です。

調味料、サウサワンについて

フィリピン料理にはリナムナムという、複雑な味わいの旨味があります。最大の特徴は、酸味と甘味、塩味をかけ合わせること。例えば、酸っぱいマンゴーを塩や発酵調味料のバゴーンと一緒に食べたり、塩味の効いたチーズを甘いスイーツの上に擦り下ろしたりして、味のバランスをとるのがフィリピンの習慣です。 代表的な調味料は、スーカ(酢)、パティス(魚醤)、トヨ(醤油)、バゴーン(発酵調味料)の4つです。

・スーカ(酢):サトウキビやヤシの花の蜜など、亜熱帯ならではの食物が原料。水のように澄んだものから醤油のように濃いもの、緑色、オレンジ色など色合いもさまざま。
・パティス(魚醤):カタクチイワシを発酵・熟成させた調味料。
・トヨ(醤油):原料は大豆と塩のみで、日本の醤油と比べ大豆の風味が濃厚。
・バゴーン(発酵調味料):魚やアミエビを発酵させたペースト状の調味料。

これらに加え、フィリピン料理に欠かせないのが、サウサワンと呼ばれるディップソース。酢、醤油、玉ねぎなどを主原料とし、塩気とほのかな甘みがあります。発酵調味料として紹介したバゴーンも、サウサワンのひとつ。フィリピンの揚げ物料理には必ずサウサワンが付いており、好みの味に調節するうえで必須の調味料とされます。

人気のフィリピン料理

前菜

ルンピアはフィリピン風の春巻きです。中の餡にはエビ、鶏肉、豚肉などにココナッツの実が混ざっています。ルンピアは3種類に分けられ、ひき肉や魚などと野菜を包んで揚げた「プリト」、野菜のソテーなどを生春巻きで巻いた「サリワ」、具を巻かずにご飯などといただく「フバッド」があります。

スープ

シニガンは日本のお味噌汁にあたる伝統的なスープ。野菜とエビや肉、魚介類を煮込み、タマリンドで味付けした酸味が特徴の一品です。またタガイタイの名物料理であるブラロは、牛骨をじっくり煮込んだスープ。具材にはジャガイモやトウモロコシが使われます。

野菜料理

ピナクベットはルソン島北部にある、野菜の名産地イロカノ地方の名物料理です。“フィリピン版ラタトゥイユ”ともいわれ、発酵調味料のバゴーン アラマンが味の決め手となっています。

肉料理

フィリピン料理では肉を使ったメニューが豊富です。なかでも代表的なのが、アドボという家庭料理。豚肉や鶏肉、牛肉をニンニクや酢、醤油、胡椒と煮込んで作る肉料理です。アドボはスペイン植民地時代、フィリピン人がお酢を料理に使うのを見たスペイン人によって、酢に付けるという意味の「アドバール(adobar)」と呼ばれたのが名前の由来となっています。

またB級グルメに挙げられるのが、ルソン島中部パンパンガ州の名物料理シシグ。細かく刻んだ豚肉を醤油やビネガー、にんにく、唐辛子で炒めた鉄板料理で、現地では炭火で焼いた豚の耳や頰肉をガーリックやオニオンで炒めます。同じくルソン島でも南部にあるビコール地方の伝統料理といえば、ビコール・エクスプレス。こちらは甘口の料理が多いフィリピンでは珍しい、唐辛子と豚肉をココナッツミルクで煮込んだピリ辛メニューとなっています。

魚介料理

島国であるフィリピンは、新鮮な魚介を使ったメニューが多種多様にあります。ラプラプはハタ科の魚で、“魚の王様”と呼ばれるフィリビンを代表する魚です。淡白で上品な味わいが特徴の白身魚は、蒸し、焼き、唐揚げなどあらゆる調理法で食べられています。“ミルクフィッシュ”の別名も持つ淡水魚バグスは、レリエノン・バゴスというメニューでいただきます。これは内臓を取り除き、そこに具を詰めて焼き上げた一品です。

またキニラウという、お酢でしめた刺身と野菜を和えたフィリピン風マリネも魚料理の定番。キニラウには白身魚のタンギンギ(さわら)やマグロ、ラプラプ、鯖がよく用いられます。

麺料理

麺料理として人気なのが、フィリピン風焼きそばのパンシット。イベントや特別な日に大皿で振る舞われる麺料理です。パンシット・ビホンという焼ビーフンを、チキンやエビ、野菜などの具材と合わせ、パティス(魚醤)、カラマンシーで味付けします。

またパナイ島にあるイロイロという町からフィリピン全土に広まった、ラパズ・パッチョイも名物麺料理。鶏や牛や豚の肉、もしくは肝臓や腎臓などのホルモンを具材とし、軽食によく食べられています。基本は卵麺を使用しますが、お店によってはビーフンやソタンホン(緑豆麺)、春雨、ミスアと呼ばれるうどんのような麺を使うこともあります。

デザート

フィリピンの代表的デザートといえば、ハロハロです。ハロハロとは「まぜこぜ」という意味で、ナタデココやゼリー、かき氷、練乳、フルーツ、アイスクリームなどを混ぜて食べます。またトゥロンというバナナの揚げ春巻きも、屋台でよく売られている国民的なローカルスイーツ。

日本で主流の黄色いバナナではなく、緑色の調理用バナナ「サバ」を使っており、お店や家庭によってレシピはさまざまです。また温かい絹ごし豆腐に黒糖シロップをかけたタホも、全土で愛される伝統的スイーツ。庶民の朝ごはんとしても人気があります。

フルーツ&ナッツ

熱帯地方のフィリピンは、年間を通じてトロピカルフルーツの宝庫といえます。最もポピュラーなのはマンゴーで、2〜6月が旬。もちろんバナナもフィリピンの名産品です。日本で消費されるバナナのうち、なんと80%がフィリピン南部のミンダナオ島から輸入されています。“果物の女王”と呼ばれるマンゴスチンは、高級トロピカルフルーツ。こちらもミンダナオ島が主な産地で、ほどよい甘味と酸味が特徴です。赤紫色の皮を割って果肉を食べます。

ライチのような果肉を持つのは、ランソネス。8〜11月が旬で、皮を剥いて透明な果肉をいただきます。人気が非常に高いのが、柑橘類のカラマンシー。“奇跡の果実”とも称され、日本の金柑に似た形と味をしています。フィリピン料理ではレモンの替わりに頻繁に使われており、カラマンシーを使ったジュースも人気です。

また、ビコール地方で採れる希少なナッツとして知られるのが、ピリナッツ。涙型で、炒ったり、揚げたり、砂糖をかけたりしたものが街角で売られているほか、ローストしたものを料理やお菓子によく加えます。

ファーストフード

ジョリビーは1,400以上の店舗を展開する、フィリピン最大のファストフードチェーンです。アメリカ、香港、シンガポールなど、海外にも270以上の店舗が進出しています。フィリピン都市部では24時間営業の店も多く、地元の人々にも観光客にも人気。

ハンバーガーとフライドチキン、バーガーステーキがメインメニューで、ライスやスパゲティなどボリューム満点のセットメニューも用意しています。ブランドキャラクターのMr.ジョリビーは、国民的に愛されるマスコットです。

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